BE VOW LOCKED

スーパーエキセントリックメランコリーメトロポリタン日記

社畜戦士育成プログラム

自分が新卒で入った会社の入社前の研修の話をします


闇に葬りたい経験だったのですが、もう何年か前になるので出来るだけこういったガテン系研修を受ける犠牲者が増えないようにここに綴るのがいいかなと思いました。記憶力がないので全部は思い出せませんができる限りで頑張ります。


ざっくり研修の概要を説明すると、
4月の「入社前」、3月末に、山奥の建物にある謎の研修練に新入社員が全員連れていかれます。約1週間の泊まり込みで、何をやるのかは事前に知らせてくれていません。持ち物は「動きやすい服装、スニーカー」。

全員到着後、大広間に研修生全員が集められ、引率の人事から一言。 

 

「ケータイ電話、財布、タバコを全員この袋の中に入れてください」

 

終わりの始まりです。

 

物語テイストにするとめちゃくちゃ長編になりそうなのでここからこの1週間で起きた出来事や課されたミッションを端的に書いていきます。
研修にはジジイの外部講師なる人物がいます。全員が大広間に集められてまずは自己紹介をさせられます。内容は「この研修を受けて変えたい自分の嫌なところ」の発表。自分の持つ全てのパワーを注ぎ込むほどの大声でそのジジイに伝えないと何度もやり直しをさせられます。男女問いません。
もうここでお察しの通り、この研修ではビジネスマナー的なものは全く学ばず、テーマとしては「学生から社会人になるための意識改革」みたいなものでした。 いろいろな試験を合格していかなければ「卒業」できないという形式で、ぼくたちは唐突にして競争の世界にぶち込まれたのです。勝たなきゃゴミだ…!!圧倒的ゴミ…!!

 

・社訓、〇〇の心得10ヶ条、〇〇の規範10ヶ条などを丸暗記させられる。暗記だけでなく30秒以内などの時間制限があり、それを達成しなければ何度もやり直しをさせられる。また、研修初日に5名ほどのグループ分けをされているので、自分だけが達成をしてもノーカウントになる。腐ったミカンが班員に1人でもいると全員が失格になるという有名なミカン理論を採用している。全力の大声でなければならない。

・班全員で行進。足踏みが揃っていないとやり直し。声が小さいとやり直し。

・全力でラジオ体操。個別競技。順番の記憶はもちろんのこと、他人を見たらアウト、声が小さいとアウト、関節が外れるほどのオーバーなアクションで体操をしないとアウト。芸術点、技術点、基礎点のフィギュア方式。減点が重なるとジジイに座れと命じられ、他の競技者を全力で応援して見守らなければならない。残ったものは衆人環視の中で全力ラジオ体操をし続けなければならない。

・大声音読。個別競技であり、暗記はしなくても良いのだが、過去の自己紹介や全力ラジオ体操を超えるほどの大声で叫ばなければ合格できない。また、読まされる内容が人格を否定するような構文になっている。「いつもお前は逃げてきた、人のせいでも環境のせいではなく悪いことは全て自分のせいだ」みたいな内容だった気がする

・ご飯は三食きっちりある。憎きジジイと食卓を囲まなければならない。この時間は和気あいあいと過ごさなければならない。

・朝は5時半起きで研修施設の掃除をしなければならない。

・どんな時でも基本的にはダッシュ。部屋に出入りするときは「失礼します」と全力で一礼しなければやり直しをさせられる。

・水道にうがい薬がある。常に全力で声を出しているため2日目には全員ガテラルボイスになっているため。
・たまに本社の人間が様子見にきて勝手に写真撮影され、誰も見ていない社内のSNSに晒される。

・最終日に卒業試験がある。試験は3分間のスピーチ。内容は「この研修を受けて変わったこと」。もちろん全力で。本社の人間が何人もその様子を見にきて、許可なくビデオをまわされる。スピーチの最後で泣かなければ合格できない。どんな様子かはYouTubeで某餃子屋さんの大人気チェーン研修を検索してみよう!内容が酷似しています!(今はやってるかはわかりません。)


ほかにもあったかもしれませんがもう忘れました。というか忘れさせてくれ。

この研修が終わると一緒に死線をくぐった同期が一生の宝物になり、にわかには信じられないと思いますが、ダメだった自分を変えてくれてありがとう、この会社は最高だ、絶対この会社で成り上がって見せる、などと何の根拠も裏付けもないブレインコントロールされた社畜ソルジャーが爆誕します。

自分は研修が始まってすぐに、「あかん…これは相当にマズいやつや」と察知することができたので、感情を支配されないように振る舞うことはできたと思いますが、30人弱の内25名くらいは、選別を待つ東ゴルトー共和国の国民たちみたいなツラになってたと思います。(H×H読者です)

 

感想としては、本当にキツかったです。


なにがキツいって、まあもちろんその研修自体もそうなんですけど、一緒に受ける同期が本当に無理だったんですよね。「頑張ってこうよ」「みんなで集まってちゃんと練習しようよ」「乗り越えていこうよ」みたいな、伝わりますかね、これ、この感じ。
同期大好きウェイ系パーティー&ピーポーみたいな陽の気の人間たちとつるむのが本当に鬱で仕方がありませんでした。まあ営業職なのでウェイ系が集まるのは今となっては納得ですが、「あぁ、ヤベエところに入ってしまった」と同期となる人間が集まった瞬間に思ってしまいました。今となってはいい思い出です、とは一生ならない思い出になりました。研修が始まってから心の中で神様に懺悔もしました。アーメン、ああ神様、どうして私にこのような試練を?物理や数学をやりたくなくて途中で大学の学部を文系に変えたから?それなのに留年したから?ろくに就活をせずに適当に会社受けてトントン拍子に採用されて遊び呆けていたから?

そうです。その通りです。

懺悔して気づきました。全て自分が引き起こしたものでした。
もう反省も後悔もし尽くしたので、最後の懺悔として文章にした次第です。
まあその研修だけじゃなくてちゃんと配属されてからも多々おかしな部分があったので思い出したら小出しにして記事書いちゃおうかなと思います。ブラック企業働き方改革などの労働的な時事問題に絡めてなにかいいこと言えないかとは考えて書いてはいるものの、大学をイレギュラーに5年間通っているような人間にはそんな力量はありません。なので僕自身ではなく、僕の大好きな誰もが知っている超有名アーティストの曲の歌詞を引用させてもらって、結びの言葉とさせていただきます。


草々。


自分よりツイてない 誰か見て安心かい? 自分だけは"例外" 思いたくて勝手言った

いつからか昼と夜が 行き違った生活でふさぎこまないでどうか 目を覚ませ 道を探せ

なんだかんだ叫んだって やりたいことやるべきです あんたなんだ次の番は やりがいあふれるレースです

寝不足にて疲労 疲れすぎてどうしようと うかがう顔色も 気にしすぎてこの行動

はみ出す勇気をどうか 絞り出して立ち上がれ ほんの少しの気合いだ 目を覚ませ 泣くな 笑え

なんだかんだ夢見たって 問題ない世の中です あんたなんだ次の番は みんなに愛呼びかけて

あるべきはずメリハリが なさすぎるTVの前 平和ボケしてませんか? 目を覚ませ 今だここで

なんだかんだ叫んだって やりたいことやるべきです あんたなんだ次の番は みんなに愛呼びかけて

なんだかんだ夢見たって 問題ない世の中です 旦那さんが次の番だ 夢が叶う来世紀です

 

ナンダカンダ/藤井隆  

 

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